制定日:2019年1月
改訂日:2025年4月
バージョン:ver:7.01
前文
本マニュアルは、エア遊具カンパニーがこれまでの運営実績および経験に基づき、エア遊具の安全な設置および運営を行うための基本指針として作成したものである。
エア遊具の運営は、イベント会場の環境、天候条件、利用者の状況などにより安全管理の方法が変化する場合がある。そのため、本マニュアルは安全管理の基本的な考え方および運営基準を示すものであり、すべての状況に対して絶対的な安全を保証するものではない。
運営スタッフは常に安全を最優先とし、現場の状況に応じて適切な判断を行い、安全な運営に努めるものとする。
第1条(目的)
本マニュアルは、エア遊具の設置および運営において利用者の安全を確保し、事故を未然に防止することを目的とする。
第2条(メーカー仕様の遵守)
エア遊具の設置および運営は、エア遊具メーカーが定める仕様書および取扱説明書に基づいて行うものとする。
メーカーが指定する設置方法、固定方法、利用条件などを遵守し、安全な状態で運営することを基本とする。
第3条(スタッフ配置)
エア遊具の運営にあたっては、遊具の規模、形状、設置数および利用状況を考慮し、安全管理に必要な人数の運営スタッフを配置する。
基本配置基準は以下とする。(受付業務は含まれていない)
- エア遊具1体につき最低2名以上
- 高さ4.5m以上の滑り台型遊具については最低2名
来場者数やイベント規模に応じて追加スタッフを配置することが望ましい。
第4条(スタッフ役割)
運営スタッフは以下の役割を担う。
- 利用者の入退場管理
- 定員管理
- 遊具内部の安全監視
- 遊具周囲の安全確認
- 利用ルールの案内および指導
危険行為が確認された場合は、直ちに利用を停止させるものとする。
第5条(利用制限)
利用者の安全確保のため、必要に応じて以下の制限を設ける。
- 年齢制限
- 身長制限
- 体重制限
運営スタッフは利用者の状況を確認し、安全に利用できないと判断される場合は利用を控えてもらうものとする。
第6条(定員管理)
エア遊具ごとに定められた定員を超えて利用させてはならない。
利用者が集中する場合は、待機列を整理し、順番に入場させるなど安全な運営を行う。
第7条(利用前説明)
利用者には入場前に以下の事項を説明する。
- 正しい遊び方
- 禁止行為
- スタッフの指示に従うこと
特に子どもが利用する場合は、分かりやすく説明することが重要である。
第8条(運営前点検)
運営開始前には遊具の安全確認を行う。
確認項目例
- 生地の破損
- 接合部の異常
- 固定用Dリングの状態
- 固定ロープの状態
- 送風機の動作
- 電源の状態
異常が確認された場合は運営を行ってはならない。
第9条(空気供給管理)
エア遊具は送風機により常時空気を供給することで形状を保つため、空気供給の状況を常に確認する。
以下の異常に注意する。
- ダクトの外れ
- 送風機の停止
- 吸気口の詰まり
異常が確認された場合は直ちに運営を停止する。
第10条(電源管理)
エア遊具の送風機は電源を使用して稼働するため、電源設備は安全に管理するものとする。
運営開始前には、以下の項目を確認する。
- コンセントが確実に接続されていること
- 延長コードに破損や断線がないこと
- ブレーカーの状態に異常がないこと
また、電源設備に異常が確認された場合は、直ちにエア遊具の運営を停止し、安全を確認するまで使用してはならない。
さらに、漏電や火災などの事故を防止するため、エア遊具を使用していない時間帯や運営終了後には、必ず送風機の電源コンセントを抜くものとする。
設置場所にエア遊具専用のブレーカーが設置されている場合は、運営終了後にブレーカーを切るなど、電源を完全に遮断する措置を行うものとする。
第11条(風速管理)
屋外にエア遊具を設置する場合は、風による事故を防止するため、事前に気象状況を確認し、運営中も風速状況を確認するものとする。
イベント実施前には、風速を確認できる気象アプリまたは気象情報サービス等を利用し、当日の風速予報および天候状況を確認する。
また、イベント当日も同様に風速を確認できるアプリまたは気象情報を利用し、現地の風速状況を確認しながら運営を行う。
風速基準
運営注意
瞬間風速4m/s以上
運営中断
瞬間風速8m/s以上
突風への注意
風は常に強弱を伴って変動しており、瞬間最大風速は平均風速の約1.5倍から3倍程度に達する場合がある。
そのため平均風速が低い場合でも突発的に強い風が発生する可能性があるため、運営判断は必ず瞬間最大風速を基準として行うものとする。
また、黒い雲の接近、急激な気温低下、雷鳴など天候の急変が確認された場合は、風速の数値に関わらず安全を最優先として運営を中断するものとする。
第12条(固定基準)
エア遊具は屋外・屋内を問わず、使用中は必ず固定を行うものとする。
固定が不十分な場合、強風や突風により遊具が移動または転倒する危険があるため、適切な固定を行うことを義務付ける。
1 固定方法
設置場所の状況に応じて、以下の方法により固定を行う。
- ペグ(杭)
- 砂袋
- ウエイト
- アンカー
固定はメーカーが指定する固定ポイント(Dリング等)を使用し、すべての固定箇所を確実に固定するものとする。
2 ペグ固定(地面設置の場合)
地面に設置する場合は、以下の条件を満たすペグを使用する。
- 長さ 60cm以上のペグ
- 地面にしっかり打ち込む
- 抜け防止のため確実に固定する
地盤が柔らかい場合は、必要に応じて補助固定を行う。
3 砂袋固定(コンクリート・屋内)
コンクリートなどペグが使用できない場所では、砂袋またはウエイトを使用する。
基準
- 1箇所あたり25kg以上
遊具のサイズに応じて必要な数を使用し、確実に固定する。
4 固定箇所
エア遊具の固定は以下を守る。
- 全ての固定用Dリングを使用する
- 固定箇所を省略してはならない
- ロープやベルトの緩みがないことを確認する
5 運営中の確認
運営中も定期的に以下を確認する。
- ペグの抜け
- ロープの緩み
- 砂袋の移動
異常が確認された場合は、速やかに利用を停止し安全を確保する。
6 強風時の対応
風速が上昇した場合は固定状況を確認し、安全確保を最優先とする。
強風が継続する場合は遊具の利用を中止し、必要に応じて空気を抜き保護する。
第13条(天候による中止)
エア遊具の運営は、利用者の安全を最優先とし、気象状況に十分注意して実施するものとする。
強風、雷、豪雨、台風などの悪天候が発生している場合、またはそれらの発生が予測される場合には、安全確保のためエア遊具の運営を中止するものとする。
また、急激な天候の変化や突風、落雷の危険性がある場合など、運営スタッフが安全な運営が困難であると判断した場合についても、利用者の安全を最優先として速やかに運営を中止するものとする。
第14条(安全教育)
エア遊具の安全な運営を確保するため、運営スタッフに対して必要な安全教育および研修を実施するものとする。
運営スタッフは、エア遊具の設置方法、固定方法、運営方法、安全管理、事故発生時の対応方法などについて事前に教育を受け、安全な運営に必要な知識および技能を習得したうえで業務に従事するものとする。
また、イベント実施前にはスタッフ間で運営方法および安全管理体制について共有を行い、役割分担や緊急時の対応手順を確認するものとする。
安全教育では、主に以下の内容について理解を深めるものとする。
- エア遊具の設置方法および固定方法
- 送風機および電源設備の安全な取り扱い
- 利用者の安全管理および定員管理
- 天候変化および風速管理への対応
- 利用者への安全説明および危険行為の防止
- 事故発生時の対応手順および救急対応
必要に応じて定期的な見直しや情報共有を行い、安全管理体制の向上に努めるものとする。
第15条(事故対応)
エア遊具の運営中に事故または事故につながるおそれのある事象が発生した場合は、利用者の安全を最優先とし、速やかに以下の対応を行うものとする。
まず、事故が発生した場合は直ちにエア遊具の運営を停止し、送風機の電源を停止するなどして遊具の使用を中断する。あわせて遊具内にいる利用者を速やかに遊具外へ誘導し、二次的な事故が発生しないよう安全を確保する。
次に、負傷者の有無を確認し、怪我をしている利用者がいる場合は、可能な範囲で応急処置を行う。怪我の程度に応じて速やかに救急要請(119番)を行い、必要な医療機関への搬送を手配するものとする。また、周囲の利用者や来場者に対しては落ち着いて行動するよう案内し、混乱の防止に努める。
その後、事故の発生状況について管理責任者およびイベント主催者へ速やかに報告する。必要に応じて関係機関への連絡を行うものとする。
事故対応後は、事故の内容を正確に記録する。記録には以下の事項を含めるものとする。
- 発生日時
- 発生場所
- 事故の状況
- 負傷者の有無および負傷内容
- 当時の運営状況(利用人数・天候など)
- 事故発生の原因と考えられる要因
これらの記録をもとに事故原因を確認し、必要に応じて運営方法や安全対策の見直しを行い、再発防止に努めるものとする。
第16条(安全基準)
本マニュアルは、エア遊具の設計・製造・設置・運営・保守・点検に関する国際的な安全基準を参考として策定している。
具体的には、米国の ASTM F2374 および欧州の EN 14960 を参考にし、エア遊具の安全な運営に必要な考え方を本マニュアルに反映している。
ASTM F2374 は、商業用エア遊具について、設計、製造、運用、保守、点検に関する基準を定めた米国の安全規格であり、バウンサー、滑り台、障害物型遊具、インタラクティブ型遊具などの商業用インフレータブル遊具を対象としている。メーカーが固定方法や使用条件、最大風速条件などを明示し、運営者がそれに従って安全に管理するという考え方が含まれている。
EN 14960 は、エア遊具について、安全要求事項および試験方法を定めた欧州の安全規格であり、主に跳ねる・滑るといった遊びを目的としたエア遊具を対象としている。遊具の構造、安全性、事故防止、点検、試験方法などに関する考え方が含まれており、欧州で広く参照されている基準である。
当社では、これらの国際基準をそのまま形式的に引用するのではなく、現場で実際に必要となる安全確認、風速管理、固定、運営体制、利用者ルールなどに落とし込み、本マニュアルとして定めている。
第17条(保険加入)
エア遊具を使用したイベントを実施する場合、万一の事故に備え、主催者はレクリエーション保険、イベント保険、またはこれに準ずる損害保険等に加入するよう努めるものとする。
エア遊具は安全管理を十分に行った場合であっても、利用者の行動や天候状況などにより予期せぬ事故が発生する可能性があるため、主催者は利用者の安全確保および万一の事故に備える観点から、保険への加入を行うことが望ましい。
当社としても、安全なイベント運営のため、主催者に対し保険加入を推奨するものとする。
第18条(利用者ルール)

利用者は以下のルールを守ること。
- 鋭利な物は持ち込まない
- メガネを着用したまま遊ばない
- 危険行為(押し合い等)禁止
- 怪我をしている場合は利用不可
- アクセサリーは外す
- 大人と子供は同時利用しない
- 高い場所から飛び降りない
- 走らない
- 飲食物持ち込み禁止
- 靴を脱いで利用する
第19条(レンタル時の安全マニュアルの確認)
エア遊具をレンタルにより貸し出す場合、利用者またはイベント主催者は、本安全マニュアルの内容を事前に確認し、安全な設置および運営方法を理解したうえで利用するものとする。
レンタル利用者は、本マニュアルに記載された安全管理、設置方法、運営方法、風速管理、利用者ルール等を遵守し、安全に十分配慮して運営を行うものとする。
また、レンタル利用者はエア遊具の設置および運営にあたり、安全管理責任者を定め、本マニュアルに基づき安全な運営を行うものとする。